危機管理アドバイザーあかりみらい越智です。
■正確なリスク分析を
東日本大震災から9年。あの長い陰鬱な毎日を思い出させるような
状況になってきました。あのときは福島、東北から北関東が「放射能汚染されたのではないか」という地域が限定されたパニックで、風評といいながらも科学的に測定、検証された現実でした。連日の報道で多くの人がノイローゼ気味になり、鬱病になる人たちも出ていまだに苦しんでいる人たちも多くいます。
今回の国中、世界中の騒動は過去のどんな事例と比較すればよいのでしょうか。5千万人~1億人の死者がでたスペイン風邪の恐怖と比較するのですか?それともサーズの時と比較すればよいのですか? もしかして例年の新型インフルエンザとあまり変わらないのですか? どの位恐れればよいのか正確に評価しないままに、不正確な情報と報道の勢いで集団ヒステリーになってしまっていませんか。「これは日本の経済を麻痺させてもやむを得ないクライシスだ」といつの段階で、だれがどういう根拠と分析で判断したのですか。
感染によってではなく、風評で一国の経済が麻痺します。いくつかの産業が崩壊します。いま地域経済が取り返しのつかないダメージを被りつつあります。

■ススキノが潰れる
北海道のホテルや観光バスはすでにこの1~2週間で青息吐息でもうすぐ窒息します。
いまススキノを取材してみてください。知事の自粛の号令が出てから土日を過ぎた月曜日には一棟全部が閉鎖している真っ暗なビルが歯抜け状態のようにいくつも立っていました。オイルショックの時でも客は通っていました。ススキノで最も健全な経営をしている普段は満席のラウンジクラブでも1組か2組の客しか居らず、その店は翌火曜日には旗艦店を閉めて小規模なグループ店に従業員を集めて営業しました。水曜日には予約が入らない限り出勤してはいけないという会社からの指示があって結局一週間で全店閉店しているそうです。すすきので最も経営状況が良いといわれる会社でこれです。女性たちにインフルエンザが流行したからではなく客が来ないから閉店するのです。
フェリー騒動が起きるまでは満室を続けていた高級観光ホテルの経営者に聞くと、今月も来月も予約はゼロでまったく見通せないと嘆いています。当社の事務所が入居しているビルの向いに先月開店したばかりの蕎麦居酒屋はもう一週間閉店しています。北海道の観光業も飲食店もじき窒息します。コロナ感染者が店からでたからではなく、風評と自粛のせいで倒産します。

■東京の様子
今週水曜日から金曜日まで東京に出張してきました。飛行機はいままで数十年見たことがないくらい空いていました。上京便のキャビンアテンダントに聞くとあの宣言以降目立って搭乗客が減ったとのこと。金曜の帰りの便はガラガラで、ついに減便も決まったというニュースも聞きました。日々凄いスピードで移動自粛の影響が広がっています。ただし、CAに聞くと日本中のCAでコロナに感染した人はまだひとりもいないそうです。
東京はどんな様子だったか報告します。イベント自粛とかテレワークとか対面営業禁止とか報道されていますが、街中の人通りは普段とそう変わらなく見えました。電車の中でもマスクをしていない人もいます。新橋でも神田でも大門でも人通りは多く、昼も夜も閉店している店は見かけないし居酒屋も賑わっていました。
JRも地下鉄もいつもと変わらず、通勤時間帯は満員です。車両一両で田舎町のイベントひとつに集まるくらいの人間が詰めこまれています。山の手線だけで数分おきの1列車に北海道の1自治体の町民全員以上の人間をギュウギュウ詰めで運び続けているのです。
北海道だけが移動を自粛しても東京や大阪では移動しまくり、ウイルスを感染しあっているのです。みんな発症していないだけです。検査していないだけです。
東京では、もはや自分も感染っているかもしれない、どこで感染ったかわからないという状況を理解しながらそれでも経済活動は動いています。都営地下鉄もJR東日本も全面運行停止しない以上は全員感染覚悟で、またはマスクをしていれば感染らないと思って乗車しているのです。

■数字のマジック
自治体名が発表されないので正確ではありませんが、北海道179自治体のうち発症者が出ている自治体数は多分30から40位。残り8割位の市町村からは発症者はひとりも出ていないのです。東京の83倍の面積で発症者は東京の2倍にはなっていない。関東全県合計数字と比べて下さい。北海道ひとつの面積に入る21県分を多い順から合計してみてください。
どうして感染者数から回復者の数を引いて発表しないのでしょう。増加の一方に見えるに決まっています。
「北海道は危険だぁ?」「北海道に行くと危ない?」  北海道の町や村のどこにゾンビや感染者が蠢いているのか。バイオハザードの見過ぎです。
北海道の田舎には地下鉄もJRもなく、地平線の見える広い大地を自分の車で移動しているのです。東京に比べて感染する機会ははるかに少ないのです。田舎にライブハウスはありません。1日誰ともすれ違わないような地域でどうやって感染しますか。ウイルス一匹いない土地が9割以上なのに北海道地図すべてが感染地帯、レッドゾーンかのように誤解されています。

■いますぐの経済対策を
このままでは誤った認識、取返しのつかない誤解のもとに北海道が実験場にされてしまいます。感染者数よりも倒産件数が増えるようなことになる前に風評を抑え込み、いますぐ緊急経済対策が必要です。
北海道はコロナウイルスの震源地ではなく、北海道が世界で一番発症密度が高いわけではないのです。「ひとりの生命は地球よりも重い」そのとおり。「感染を広げないようにしなくては」そのとおり。それでも北海道全部が潰れるよりはまし。やれるかぎりの感染拡大防止と併せて、やれるかぎりの緊急経済対策がいますぐ必要です。
風評で北海道のブランドを汚すな。北海道の大地を汚すな。風評ごときで会社を潰してたまるものか。以上越智私見です。