寄稿記事 ARTICLE

あかりみらい通信

2022年07月21日

したくない値上げのお知らせ

■電気料金非常事態

 ロシアのウクライナ侵攻に端を発した原油高騰と記録的な円安が70年代オイルショック以来の電気料金高騰を招いています。当時のことを覚えているのは相当の御年輩ですが、中東戦争を契機とした第一次・第二次オイルショックでは「総需要抑制策」「電気使用制限等規則」などで強制的にデパートのエスカレーター運転中止、ネオンサインの消灯、ガソリンスタンドの日祝休業、飲食店や映画館の営業時間短縮、照明の間引き、ナイター試合の繰り上げ、深夜放送の休止などが行われました。

 いまの電気料金の高騰はこれに匹敵するもので、電力自由化制度の崩壊と遭いまり、猛暑の中での需給ひっ迫と停電の危機という混乱を招いています。

 

 燃料費調整制度の7月分、8月分が発表されています。事務所ビルや店舗などに適用される業務用電力契約では北電の本来の規程単価18.85円に上乗せして6月の調整単価は@1.85円、7月は3.10円、8月は4.55円です。これに再生エネルギー活用促進賦課金の3.45円が加えられ8月の合計は26.85円になります。再生エネ負担金の制度が始まっていない東日本大震災前の20104月の電力量料金1229銭で単価燃料費調整単価116銭の11.13円のときと比べるとなんと2.4倍になっているのです。

 さらに本格値上げが迫っています。

 

■電気料金政策の崩壊

 燃料費調整制度とは、発電燃料として輸入する原油価格とLNG価格の値上がり、値下がりを電力量単価に自動的に反映する制度です。1970年代80年代は全国9電力が地域の発電・送電・販売を独占していた時代で当時は通商産業省が規制官庁として10電力会社をしっかりと監督していました。電気料金の値上げについても厳しい査定と値上げ幅の見直しなど国がコントロールすることで物価の値上げを抑えていました。

 当時は電気料金の値上げには公聴会を開き、地元新聞や消費者協会や商工会が値上げ反対のキャンペーンを積極的に行っていたものでした。また80年代には円高の進行や原油価格の下落もありこれには電気料金の値下げとして小幅であっても暫定値下げが何回も繰り返されました。

 いわば古き良き時代としての物価統制の仕組みが効いていたのですが、その後電力業界全体として燃料費の増減をそのまま原価に乗せるという合理的かつクールな燃料費調整制度を適用することとなりました。 

 一方では1990年代から欧米並みの電気料金を実現するには地域独占を崩して9電力以外の新規参入者と競争させるしかないという橋本内閣の目玉である「電力自由化」が始まりました。発電会社と送電会社、販売会社を分離して共通の電力市場から仕入れた電気を競争して工夫して安く売るという当初の構想は骨抜きになり、昨年のスポット市場のキロワットアワー400円代という暴騰で呆気なく崩壊してしまいました。自社の発電所を持たない新電力会社は電気を仕入れる資金もなく次々と倒産しました。

 

 予想される本格値上げ

 燃料費調整制度はスタート当初に想定していた制度上限の原油価格1.5倍という数字を遥かに上廻ろうとしています。ここ1年間の電気料金は全国で2割から3割の自動的値上がりを行い、これが7月、8月には燃料費調整制度の上限を各社超えてしまいました。上限を超えると次は本格電気料金改定です。2011年の東日本大震災の未曾有の電力危機が起こったとき、当時の菅内閣は2つのエネルギー改革を行いました。1つが再生エネルギーを一気に開発していくためのFIT制度であり1つは革命的な省エネを進めるためのLED化「あかり未来」計画でした。このFITは太陽光や風力の電気を当初1キロワットあたり48円で地域の電力会社に引き取らせるという驚異的な逆さや単価を作り当初、1家庭あたり100円程度の影響で実現できるという嘘の国会答弁で法制化されました。この初年度の再生エネルギー普及促進単価が0.22円で毎年太陽光・風力の普及に比例して国民負担は今では3.45円の16倍になっています。つまり東日本大震災前の電気料金は業務用電力単価を例にとると1229銭であった電気供給規定の単価が再生エネルギー促進のための負担として3.45円が上乗せされ原油価格の当時から値上がりした分をそのまま上乗せした分が4.55円になります。これに泊原子力発電所が再稼働したら値下げするという叶わぬ約束の下に2011年、20122回にわたる緊急値上げが行われおよそ3割の値上げがありました。このあと10年間で26.85円が現在の電気料金で当時のおよそ2.4倍の負担をしていることになります。

 そして今燃料費調整制度の上限を超えて本格料金改定が準備されています。北海道の電気料金は季節によって変動が大きく、電気料金負担も基本料金として大きなものになっています。冷凍業や水産業、スキー場、農業、観光業など使っていない季節でも基本料金を払い続けることには昔から制度変更への要望がありました。

 

■最低保証約款で1.2

 基本料金を大幅に下げるために北電からの契約を新電力に移行させた企業、自治体も多くあります。電力自由化の基本前提が崩れた中で北電が高圧電力を供給しないことは独禁法違反の可能性もあります。昨年から始まっているこの大混乱を経産省も政府も放置しています。政府が作った電力自由化制度を信じてコスト削減に取り組んできた被害者を救済すべきであり、そのためには高圧電力需要家への無条件規定単価供給やガソリン元請けへの補助制度のような電気料金の抜本策を投入すべきです。

 昨日の岸田総理の演説では、電力逼迫対策として審査中の9つの原子力の早期再開が挙げられました。

 残念ながらというべきかどうか、北海道の泊原子力発電所は11年経っても規制委員会の審査を通すことができないでいます。北海道では原子力の再開を逼迫対策にも使えず、再稼働したら値下げするという約束も空手形になりました。

 

■今すぐ決断を

 残された手段はありません。

 私のエネルギーコンサルタントとして訴え続けた現実的な対策は、菅内閣が閣議決定した「あかり未来計画」です。照明すべてのLED化です。昨年10月にはカーボンニュートラル政府行動計画として衣替えして2030年の100%LED化が閣議決定されました。

 しかし、これもLEDが値上がりし、資材不足で入手困難になっています。やる気になっても何か月も手当ができません。いま発注しても完成が来年になるというような事態もあり得ます。無駄な電気料金が経営を苦しめます。

 「北海道の人はのんびりしてるね~」ではすみません。社長と首長はいますぐ厳格に明確に指示を出して、いまできる唯一の対策を実行してください。

 

 詳しくは検索➡️あかりみらい 自治体 をご覧ください。