寄稿記事 ARTICLE
2022年06月22日
知事LED化を表明
昨年10月に政府は2030年までに政府施設100%をLED化すると閣議決定しています。政府直営施設だけでもとんでもないことなのに全国1718の市町村が一斉に動き出すとLED資材が手に入りません。まだ「来年度の予算で」などと言っている方もいますが、コスト意識があるならば北海道の経済の為にもぜひ直近の議会でご議論ください。
先週、大越農子議員の質問に対し鈴木知事が2000件の北海道所有の施設をLED化していくことを表明しました。北海道には今まで道庁赤レンガのライトアップ投光器を寄贈し省エネ効果を実感してもらい、建築セクションや施設管理セクション、歴代副知事にも何年にもわたってお話ししてきました。
「計画的にやっているから」とどちらの自治体でもよく聞くセリフですが、その無計画、無責任な取り組みのせいで2000件もの工事を残してしまい、LEDに比べて何倍も高い電気料金を払い続けてきたことが明白になりました。道ではこの4月にカーボンニュートラル監ポストが新設され「やはり現実的な手法はLEDしかないでしょう」と環境生活部の方々に説明をし、議員の方々にも電気料金の値上げと電力自由化の崩壊について説明してきたことがやっと先日の知事答弁までたどり着きました。
ただしここからが問題です。通常、村や町で数十、市では百数十から2百数十といった施設をLED化しなくてはなりません。
数十や100や200 ならばなんとか地元の電気工事業界の総力を挙げて1年から3年程度で工事を終わらすことができます。ところが札幌市の500とか道の2000とかなるとまず電気工事屋の確保が問題です。資材の確保も大変な問題です。以前、北海道大学の委託でLED化の見積もりをした時も4百数十棟、1900フロアの建物12万本の蛍光管交換には札幌中の電気工事屋を集めなければ無理だという議論をしたこともあります。LEDも数十万本以上の確保となるとメーカーに一年前から部品や半導体を確保することを依頼しなくてはなりません。
そもそも2030年のオリンピックイヤーを目標年度にしたとしても年間300施設のLED化工事発注です。今までのような考え方では到底不可能です。
一方では北海道電力の電気料金値上げが目の前に迫っています。「なんでもっと早くやらなかったんだ」と知事や施設管理者を責めても仕方がないのですが、ここからは一大財政削減プロジェクトとして専門家を交えて調査検討していくことを提言します。
LED化が進んでない所にはお化けがいます。LED化は「やりたくないお化け」にとっては「こんな大変な仕事を自分の代ではやりたくない」「何十回も公共工事見積もりを作業し、議会を通して入札するのもめんどくさい」という意識が働いているかもしれません。「地元の電気屋の仕事だから長く引き伸ばして高い金額で発注してやらなくてはならない」と民間ではあり得ない公共事業のばら撒きの型にはまり「選挙が近いのだから票が大事」という首長に忖度したところもあったようです。
それは全て公務員、役人ならではの発想です。民間の経営者にとってはコスト削減が至上命令です。電気代の値上げごときで会社を潰し社員を路頭に迷わすわけにはいきません。
民間のLED導入の1番簡単な方法がリース活用です。公共工事だと身構えて、物価本で道単価で見積もりを積算するとリースに比べて2倍から3倍の予算になってしまいます。こんな高い単価では省エネの改修メリットが出て来ません。LED化はほとんど唯一の短期間で投資回収できる省エネ投資です。天井工事ではなくリース物品を取り付けに来たと考えればただの取り付け手数料です。地元の工事屋さんも営業もせずにこんな簡単な方法で自治体のすべての照明の仕事が舞い込んで来るのですから特需だと喜んでもらえます。「公共事業でこれから20年食っていけるのにと」いう電気屋さんの声もありますが、市民の税金を無駄にすることはできません。道内では既に50近い市町村がオールLED化を終えているか今年の工事を検討しています。ゼロカーボン北海道宣言以来、ほとんどの自治体がどうやってやれば良いか勉強をはじめています。あかりみらいのホームページにLED化を終えた自治体を掲載してありますのでその自治体に問い合わせてください。やって失敗したという首長さんはどこにもいません。
厳しい自治体財政が無駄な電気代のせいで必要な福祉や教育予算が削られることは愚かなことです。
こういったことを地元経済誌や全国紙に掲載した記事をダイレクトメールで送ってありますのでゴミ箱に捨てずにどうか一目ご覧になってください。カーボンニュートラルの組織や担当を新たに作ったところには勉強会で情報提供に伺いますのでご遠慮なくお申し付けください。
https://akarimirai.a07.401.works/blog/report/20221027-122/