寄稿記事 ARTICLE
2023年03月06日
3.11 ー防災への提言ー
危機管理アドバイザー/エネルギーコンサルタントの越智です。
この土日にNHKが南海トラフ大地震をテーマに力の入ったドラマを放送しました。ご覧になりましたか。
「半割れ」という西日本、東日本と短期間でダブルで地震、津波に襲われるという今までにない想定で避難対策、避難所救援問題だけでなく国家財政の危機についても言及した立派な内容でした。
ちょうど一昨日の土曜から愛媛に出張しており今日から四国4県12市町村を廻ります。高知がドラマの舞台だったので防災担当の方々にも話を聞いてこようと思っています。
■津波に救命胴衣を
ドラマを見て自分に何ができるか考えましたが、以前から政府にも提言してますが、津波に対しては救命胴衣を全戸配布するしかないと思います。お年寄りや車椅子の方々が避難タワーに間に合うとは思えません。小さな子供たちが学校から裏山へ駆け上ることが間に合うか。「てんでんこ」の時代にはライフジャケットがありませんでした。町のほとんどの住民が流されても何人かは助かる可能性はある。助からなかったとしても後で遺体は見つけてくれる。何億円もの費用と期間をかけて避難タワーを作るのであれば、まずは1人数千円の救命胴衣を全員に配布してください。世界中で飛行機に乗ると必ずライフジャケットの着用をアテンションするのはこのためです。毎日飛行機に乘って8600回に一回墜落する確率でもこの練習をするのですから、今後30年間に70%の確率で起きる大津波に対しては今すぐ議会で予算措置をするべきです。
■停電には車のコンセントから
次にアドバイスできるのが停電対策です。真っ暗闇の中で過ごす不便さはブラックアウトで経験していますが、あの時にセコマが実行し北海道から発信されたのが車から電気を取ることでした。今トヨタの新型車と三菱の車には1500ワットのコンセントが付いています。普通の家庭と同じく1500ワットまでの家電が使えます。当社で避難訓練での実演を行った経験では、照明、テレビ、パソコンだけでなくお湯も沸かしてご飯も炊けました。公用車にプリウスやアウトランダーを採用し体育館に1台配置するだけで発電機よりもはるかに便利な発電機車になります。自分で訓練した人はわかるでしょうがガソリン発電機が始動しなかったり、徹夜で給油しなければならないのに比べてガソリン満タンで4日間も放置できる車がなによりも便利なのです。
車で避難してくる町民の方々にもコンセント付きプリウスに乗っている人が何人もいると思います。協力を求めれば電気には苦労しない快適な避難所になります。防災訓練では一度実験しておいて下さい。体育館の横に車を止めるスペースがあるか。そこから電工ドラムでどこまで届くか。
ここで注意しておくことは電圧の低下です。避難所には人工呼吸器をつけた人や吸痰器を持ってくる人もいます。避難民が勝手に無制限に車からの電気を使うと電圧が低下して医療機器に支障を起こすことがあります。電流の制限機能や警告ブザーがある「安心給電キット」を開発してありますので備えておいてください。
最後にコロナウィルス対策です。2類から5類になり神経症的なマニュアルも改訂すべきですが、たくさんの人が不衛生な環境で長期間過ごさなければならない避難所では感染予防対策と臭い対策が必要です。一部薬品業界の風評工作により次亜塩素酸水の活用をやめてしまった自治体も多くあるようですが、次亜塩素酸水の空間噴霧は一昨年厚労省もこれを認める通達を出し国会で厚労大臣も認めています。アルコールは空間噴霧するわけにもいかず、大量保管は火災の原因にもなります。ハイターやブリーチなどの次亜塩素酸ナトリウムを備蓄しているでしょうが扱いの難しい危険な資材です。次亜塩素酸水は長期保管が効かないという欠点がありましたが今ではパウダータイプのものも発売されており少量・軽量で5年以上の保管ができます。
最後に今全国を歩いてレクチャーしている本業からの提案ですが、電気料金の高騰とカーボンニュートラルの両面からリースを使ってすべての施設を一括完全にLED化することをお勧めしていますが、中でも避難所として使われる体育館では水銀灯を調光型のLEDに変えることで避難民の方が快適に過ごすことができますし、学校の消費電力を減らすことで発電機の燃料を大きく節約することができます。沖縄のある教育委員会ではLED化で削減できる予算を使って体育館の屋根にソーラーパネルを設置しバッテリーを介して通常は学校での使用に災害時は非常用電源に使いたい、これも120回分割にできないかという問い合わせがありました。できます。防災資材も120回分割可能です。来年度と言わずにいま検討してください。
ご遠慮なくお問い合わせください。