寄稿記事 ARTICLE
2023年04月14日
電気料金の真実②
エネルギーコンサルタント、㈱あかりみらいの越智です。
前号では電気料金の仕組みを解説しましたが、いよいよこの非常事態とも言える電気料金高騰のへの対策についてお伝えします。
■基本料金を下げる
一般家庭ならば30アンペアの契約を20アンペアに変えると年間4,092円の電気料金が下がります。(※北海道電力 従量電灯Bの基本料金にて計算)
電子レンジとドライヤーを一緒に使うとブレーカーが落ちますが、生活のやり方次第で節約は可能です。
高圧の事務所や病院などでは、デマンド実量制と言って1年間で1番多くの電気を使った1時間の使用量の高さが契約の電力となります。
例えば夏のクーラーを1番多く使った日の、一番高い計測値がその後1年間の基本料金になります。1年中同じ電気の使い方をしているならば納得できますが、季節によって変動の大きい業種にとっては使っていない時期にも高い基本料金を払わなくてはならない負担の大きい制度です。
例えば水産業ではサンマが豊漁の1日には冷凍庫が満杯になりデマンドピークを迎えますが、魚が取れない時期など冷凍庫はカラで電気を使いません。北海道はゴルフ場やスキー場など、半年以上電気を使わない季節も基本料金は1番高く使った日の契約キロワットに対して基本料金がかかります。
■運用改善 電気の使い方を変える
高圧の基本料金を下げるにはピークカット、デマンドコントロールという考え方があります。
例えば1年で1番電気を使う時期のその時間帯だけクーラーの温度を下げる、ピークの出ている時間帯だけ照明を落とす、工場の操業時間をずらすなどをするとデマンドキロワットを落とすことができます。
電力会社に何月何日の何時にピークが出ているかを聞くと、それぞれの運用改善の対策を考えることができます。
例えば病院で午前11時にピークが出ていて、入院患者への昼食調理時間を1時間前倒しするとピークはカットできます。あるゴルフ練習場では閉店している夜中に大きなピークが出ていて、調べてみるとその夜だけ1年に1度のゴルフボールの洗浄機械がフル稼働していたそうです。
皆さんがご覧になっているテレビ局でも、ワイドショーのスタジオ照明が1番電気を使っており、放映時間中は経理課長が廊下やトイレの照明を消して回っているという話もありました。
今回の値上げ申請では沖縄電力以外は基本料金をあげていますが、北海道電力では1,870円から2,547円と大きな値上げをしています。
例えば10キロワットのピークカットを行えば、月25,000円×12か月で年間30万円の削減が可能になります。
■電力量料金を下げる
スイッチをこまめに切りましょう。クーラーの設定温度を下げましょう。ウォシュレットの温水温度を下げましょう。コンセントを抜いて待機電力を減らしましょう。古い冷蔵庫は最新の省エネ家電にするだけで結構な省エネになります。照明は蛍光灯をLEDに変えるだけで7割以上の節電になります。
前号で書いたように高圧の業務用や産業用電力は、自由化契約のため経産省の査定もなく、既に4月から料金値上げが行われています。
5月に送られてくる請求書を見て驚くことになります。多分夏の電力逼迫対策もあり、エレベーターの間引きやネオンの消灯など暗い夏がやってきて、クーラー難民が熱中症対策でスーパーや図書館に避難する事態も想像されます。今年は新型コロナウィルス対策として、窓を開けたままでクーラーを全開するような馬鹿げた事はなくなりますが、猛暑の夏にどれほどの電気代が請求されるか恐ろしい事態です。
■技術で対策する
電気料金対策もカーボンニュートラル対策も新しい技術が解決する部分もあります。
アイリスオーヤマ㈱では、今月AIを活用したクーラーの制御装置を発売開始しました。空調の温度設定調整の幅を細かくすることで、機械に負担をかけず事務所や店舗では30%程度の電気料金が削減されます。
1台の制御機で8台の室外機をコントロールします。省エネ投資は削減電気料金で投資額を何年で回収できるかが判断材料です。
これから夏のクーラー使用のピークが来る前に検討しましょう。お問い合わせください。
■LED化の完全実施
今更LED照明のことを知らない人はいないはずですが、それでもまだ交換していない割合が結構あります。
こまめにスイッチを消すよりも7割の省エネ器具に取り替えるのが一番です。省エネ投資回収の1つの手段がリースの活用です。省エネによる電気料金の削減額がリースの長期分割月額を上回っているならば、自分のお金を使わずに電力会社に払っている電気代の範囲でLED化が可能です。
民間では与信審査が厳しく短期間での返済になりますが、自治体や政府機関では取りっぱぐれがないので10年間の長期分割が可能でその後は無償譲渡されます。
投資回収年数が10年以下であれば持ち出しがなく完全LED化が可能になります。
蛍光管1本をLEDに替えると年間2,000円程度の電気料金が下がります。頭の上の蛍光灯の数を数えてみてください。
PS. G7環境大臣会合を記念して札幌ドームで開催される環境イベント「環境広場ほっかいどう2023」に出展します。
全172ブースの最新技術と環境メッセージが集まる一大イベントですので是非ご来場ください。
日時:4月15日(土)、4月16日(日) 10:00~16:00
会場:札幌ドーム
ブース位置:KAー68,69(入場口入ってすぐ正面左です。)