寄稿記事 ARTICLE
2023年06月13日
アスベスト規制強化問題
あかりみらい通信では4月から大幅値上げされている自由化分野電気料金対策を連載していますが、今回はその1丁目1番地である照明のLED化において必ず検討しなくてはならないアスベスト問題についてお伝えします。
電気料金による財政圧迫とカーボンニュートラル対策として自治体の公共施設全てを一括してLED化する提案を行っており全国の自治体からお問い合わせが多数寄せられています。その中で大きな認識不足と誤解があるのが天井材のアスベスト問題です。昨年4月から規制の強化で2006年以前の建築物では天井材工事にあたってはアスベストが含有されているかどうかの事前全数検査が必要となっています。
この検査だけでも高額の費用がかかりますが、アスベストが含有されていた場合には工事資格者が法に基づいた作業をすることになり費用と期間がかかります。今照明が老朽化して天井工事を伴って交換しなくてはならない場合でもその建物が2006年前のものであれば全てその対象になります。
費用がかかり期間がかかることも問題ですが、今全国で工事資格者が足りずに地方では1人も資格者がいない電気工事会社も多くあります。クーラー取り付けの穴を開けたりコンセントの移設も対象になります。塗装の塗り替えの場合なども大きな問題になっているそうです。
照明の天井工事で天井材を削ったり切ったりして灯具を交換するような場合には全てこの対象となり現実的に非常に困難な状況になります。数十数百の公共施設すべてを検査して費用が1.5倍から2倍にも膨れ上がり、工事納期が倍以上になります。何より資格者がいなければ工事自体ができません。
この問題については5月に経産省副大臣宛に問題提起を行っていたのですが、
政府カーボンニュートラル行動計画における2030年100%LED化の課題について
昨日、環境省地球温暖化対策課と大気汚染対策課に出向いてその後の検討状況を情報交換してきました。
カーボンニュートラルの為にも電気料金高騰対策のためにも全国でLED化が一気に進む中で古い建物のアスベスト規制がこのままでは国家的な行政災害になってしまいます。政府の2030年の100%LED化目標など全く間に合わず、本来大きく下げられるCO2排出量と値上げ後の電気料金が渋滞してしまうことでどれほどの国家損失となるかも想像できません。
今自治体の建築担当部署では埋め込み型蛍光灯照明器具のLED化を管交換方式に指定するところが多くなっています。器具交換で行う場合でもメーカーが同じでサイズが変わらない場合には天井板の切削の必要がない場合もありますが、数多くの施設の年代もメーカーも型式も異なる照明器具をLED化するには2006年以前の全施設のアスベスト調査と照明器具の型番、メーカー、年式等の現地調査が必要となります。
調査自体が大きな費用と長い期間を必要とします。その期間の間も高い電気料金を払い続けています。それは市民の税金です。
昨日打ち合わせた環境省の担当官からは、膨大な調査を行う位であれば調査を省いてアスベスト含有を前提として工事を行えばどうかと言うアイディアも出されましたがいかがなものでしょうか。手間と費用をやむなしとしても、地方の町村でアスベスト工事資格者がいないことへの解決策にはなりません。ある自治体での見積もりでは通常のLED化工事の1.5倍以上の費用となったと言う報告もあります。
ではどうすれば良いか。天井板を切削する工事でなければ良いのです。埋め込み型の照明を器具交換することでアスベスト問題が発生するのであれば、安定器を切断しソケットに結線するだけの管交換方式ならば天井板を加工する必要はありません。LED化の仕様書に工事方法を管交換方式に指定してください。
建築所管箇所でも誤解されている方が多いのですが、管交換だと火災が起きると言うデマが照明業界の利権のために広められており、この悪質な業界チラシについても撤収するよう経産副大臣に申し入れています。安定器を切断する工事方法で火災が発生するはずもなく、そもそも器具交換製品は世界で日本メーカーだけが発明したガラパゴス製品です。LED化の初期の頃に海外製の蛍光管型LEDに市場席巻された国内メーカーが巻き返しを図ったのが器具交換戦略です。
業界と経産省がもっと賢ければ日本の世界戦略ともらったのですが、残念なことにこのライトバーは各メーカーでサイズも取り付け方法も異なり昔のVHS -β戦争と同じ状況になってしまっています。
馬鹿げた風評に騙されなければ、安定器をバイパスする簡単な工事で世界のスタンダードであるG13ソケットと同じサイズの蛍光型LED管に取り替えるだけで良いのです。器具交換を推奨するのはメーカーと照明問屋が儲けたくてやっていることで費用も工事期間も管交換の方が勝っています。膨大な廃棄物も出しません。さらにこのアスベスト規制問題を乗り越えるには管交換しかないと考えています。
よく照明器具の寿命についてお問い合わせがありますがプロの電気工事士が現地で目視してもしもソケットが劣化していたならば交換すれば済むことで、それを理由にして高額な器具交換を行う必要はありません。器具交換型製品は10年前までは存在していなかったのですからメーカーの商魂に乗って惑わされる事はありません。
膨大な現地調査による見積もりは非現実的です。照明の数さえ数えれば試算も見積もりもできます。全国から図面による見積もり依頼が多く寄せられています。今ならば9月議会、プロポーザル企画競争入札、10月着工も可能です。どれだけの電気料金削減になりCO2削減になるか無料で試算アドバイスしておりますのでご遠慮なくお問い合わせください。
5月だけで50以上の自治体からお問い合わせがあり30件のオンラインレクチャーを行いました。6月7月のオンライン会議日程を設定しておりますのでこちらからお申し込みください。