寄稿記事 ARTICLE

あかりみらい通信

2024年01月04日

災害の確率

あかりみらい通信

なんという確率でしょうか。人間の一生のうちで震度7の地震を10年置きに体験し、原子力発電所が爆発し、ジェット旅客機が炎上する。関東大震災から100年の間に全国各地でどれほどの災害が見舞ってきたことか。
危機管理担当者は100年に1度の大災害が毎年のように起きている事実を再認識しなくてはなりません。


こんな大災害が元日に起きて翌日にその支援に向かう飛行機が滑走路で衝突するとは。統計学的に何を分母に何を分子にすればよいのか分かりませんが、元日に震度7が襲う例も管制官が滑走路を見誤るまたは機長が指示を誤り衝突する例も過去皆無だったのではないでしょうか。これが続けて起こる、ほとんど同時に起こる確率とはいかなるものか。


◾️100年に一度ではなく

本稿は極少の確率に驚いているのではなく、想像できないようなことが現に起きるのだということをみなさまと再認識したくメッセージしています。
地震も津波も予知はできません。それでも巨大災害はやってきます。100年に1度の自然災害が毎年何処かで起きています。47都道府県のどこかにやってくる確率は何分の一なのでしょうか。100年に1度しかやってこないのではなく、いつ自分の順番になるかという問題です。


東日本大震災は500年に1度の災害と言われました。航空機が墜落する確率は毎日飛行機に乗って8600年に1度だと言われていました。
これからは着陸時に滑走路で追突炎上する確率も想定しなくてはいけません。
ひるがえって、南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝大津波等はこの先30年に7割から8割の確率で発生すると言われています。


今回の能登半島地震の今現在起きている事象と問題点を毎日注視して学びましょう。避難タワーが何箇所あって、そこに避難できた人が何人いたのか。
テレビでは、防災無線もサイレンも鳴っている様子はありませんでした。故障していたのか当番者が駆けつけられなかったのか。
すぐに開設できた避難所が何箇所あって、そこの電気は点いていたのか暖房は稼働したのか。職員は何人配置につけたのか。
本日現在ではボランティアの募集も支援物資の受け入れもまだ決まっていないようですが、自分がこの当事者となったときにどういう振る舞いが必要か、皆さんのマニュアルでは対応しているでしょうか。


◾️訓練の大事さ

今回の羽田空港の事故は当初、搭乗客の無事が不明のままにジェット機の窓から煙と炎が上がる映像が流されました。見る人すべてに背筋が凍る想像がよぎったでしょう。
テレビ解説では非常口シューターを展開して脱出させるのに数分だったと言います。それでもあと1分遅れていたら380人の人たちが蒸し焼きになっていたのですから、まさに危機一髪だったという以外ありません。
JALは毎年この訓練だけに丸一日を費やしているそうです。徹底した訓練の賜物であり、プロフェッショナルの仕事でした。それでも初めての奇跡的避難成功からも改善する余地はあり、JALマニュアルを直さなくてはならないでしょう。


昨年にはほとんどの自治体で再開されましたが、新型コロナウィルスの期間には防災訓練すら中止されました。いま能登半島の避難所で感染対策などまともにマニュアル通りにできているのでしょうか。
真冬の暖房がつかない避難所で換気などするわけがありません。何を優先して何が必要になるかマニュアルを修正してください。


危機管理は経験から学ぶしかありません。成功の経験も失敗の経験もいま進行している避難所と復興の情報から学ばなくてはなりません。
もうすでに行っているかもしれませんが、防災危機管理担当の皆様はぜひ新年早々にミーティングを行い、今起きている事象への勉強会を開催してください。
防災訓練は年に1度9月の防災月間にやると決まっているわけではありません。3月11日に東日本大震災の津波を想定した訓練を行う自治体も多くあります。
訓練の前倒しまたは年に2度の防災訓練も必要な時代となっているのではないでしょうか。