寄稿記事 ARTICLE
2024年05月24日
リースと交付金、ESCO
2027年の蛍光管製造禁止問題について6月議会に向けてのお問い合わせが相次いでいます。特に公共施設が100件、500件、1,000件、3,000件といった自治体からこれらの見積もり方法と解決策を相談されています。
私も気がつかなかった分野で、ある県から県営住宅1万戸の共用部分とお風呂と台所等の照明が県の所有になるので、これらすべてをリースで処理できるだろうかという相談もありました。試しに北海道庁の建築担当に聞くと、道営住宅は21,500戸だそうです。さてどうすればよいでしょうか。
今の段階でのお問い合わせの筆頭は、総数で数百件になるけれども、試算見積もりしてもらえるだろうかという点が1つ。答えはイエスです。個別にご相談ください。
次のよくある質問は、リースではなく起債への交付金、ESCO等は使えないのかというご質問です。せっかく時間と手間をかけて見積もりしても、財政箇所から今更こういう質問も出てくるようです。
答えはリースしかありません。公務員の方のDNAで国の交付金を分捕ることを検討せよとの指示が必ず出ますが、交付金を申請する前提の見積もりができないのならば諦めてください。
数件とか、数十件であれば建築営繕の積算申請でもできますが50件、100件を超えると不可能です。公共単価で民間相場の3倍の見積をしておいて50%の交付金が当たっても財政削減にはなりません。担当者のマンパワーも残された時間も足りません。
環境省地球温暖化対策室に地域脱炭素推進交付金について確認していますが、こちらは再生エネルギーのプロジェクトと抱き合わせで認可されないとLEDだけの申請はできません。すでに採択されている自治体は問い合わせしてみてください。
総務省の脱炭素交付金の方はLEDだけでも申請できますが、リースの併用はできません。いまこちらへは総務省に環境省のようにリース併用を可能とするよう提言を行っています。いずれにせよ職員のマンパワーと2027年締め切り時間との勝負を前提に判断してください。
ESCOについては、過去の電力使用量、光熱水費等を調査して、省エネ投資による改善使用料を想定し、その理論値による削減額全てを使って照明、空調、節水、デマンド管理等に投資していくというビジネスモデルです。こちらも大きな庁舎1つとか数件規模の施設の調査と委託ならば可能ですが、数十件、数百件をESCOで発注しようなどというのは、調査時間も検討時間も職員のマンパワーも全く時間が足りません。照明だけでも途方に暮れているのに、冷房や暖房や節水まで見積もりや熱量比較などしている時間はありません。ESCOは「効果保証」するというのが謳い文句ですが、LEDが7割から8割の電気料金を削減するのは常識です。たかが照明だけの改修にESCOは必要ありません。今後10年間同じ使用状況を前提とした理論契約など信用できるでしょうか。
全国の自治体で、これらを比較した結果、自治体施設の一括LED化についてはほとんどの自治体でリースを採用しています。
これらの手法の比較検討だけで、半年も1年もかけている自治体もありますが、時間の無駄です。コンパクト蛍光管は来年度の製造禁止です。
ここで悩んでいるようならばどうぞ今すぐお電話ください。
≫蛍光灯製造・輸出入廃止に関する通知
≫ジチタイワークス Vol.30
≫環境新聞 2024年5月15日号
≫あかりみらいオンラインセミナー
次号は「正しい入札と危うい入札」について配信します。参考にしてください。