寄稿記事 ARTICLE

あかりみらい通信

2025年08月04日

官製談合?

あかりみらい通信

本あかりみらい通信では、年に数回コンプライアンスに関しても情報提供しておりますが、ここのところリースを活用した一括LED化事業の入札における不正が目立ってきています。特定の地元業者に落札させるための資格要件や評価規定を設定したり、製品機種に不要な「縛り」をかけるなど公正取引委員会の調査結果によっては官製談合として事件化される場合もありますのでくれぐれもご注意ください。現実に起きている最新の事例をお知らせします。

【●●県●●市公共施設LED化入札における不正を疑われる事例】

🔲組合として入札に参加
●●市では、2027年の蛍光灯製造禁止問題に対応するため、60以上の施設のリースを活用したLED化を計画。総額10億円近い上限価格を予算化しプロポーザル入札を公募。一見全国で公示されている入札募集と同様に思われたが、「電気工事事業組合が組合として一致団結して」参加し落札するという異様な事態が発覚した。
入札は言うまでもなく、公平な競争機会を広く求めることで市民の貴重な税金を有効に使うことと、独占禁止法に基づく公正な取引と社会正義を維持するためにある。
驚いたことに●●市の入札参加資格名簿には●●市電気工事業組合を始め、建設業系の組合団体が揃って登録されていた。市に1つしかない組合が「組合として入札に参加する」ことを許すという事は、初めからその業界が一致団結して「談合」することと同じである。その地域で圧倒的な地位を持ち、個々に入札参加する資格を持つ電気工事業者のほとんどが加盟している組合が、「組合として参加」できるとするならば、そこに公正な競争状態は発生しない。一社入札になれば価格も条件もその組合が「談合」して自由に設定することができる。
もしもこれを自治体が認知していながら許していたとするならば、官製談合とも言えるのではないか。
現に●●市教育委員会では、公正取引委員会の「独占禁止法3条違反にあたる可能性がある」という見解を伝えた要項への質問にも「組合とそこに所属する組合員が、異なる入札コンソーシアムに所属する場合には、入札結果を無効とする」という回答をしている。つまり●●市では組合としての参加が常態となっているどころか、組合が一致団結して自分の意思で入札参加する組合員を認めさせない(その場合には入札無効にする)ことが●●市のルールとなっているのである。組合が組合員の入札参加の意思や契約価格を拘束する事は、明確な独占禁止法3条違反である。

🔲電気工事屋にISOを求める
さらに、この市では異常な入札要項の「縛り」をかけていて、評価採点表のトップに、●●市に本店を置く電気工事業者でISO9001と14001を保有すること、電気工事業者に売り上げ比率、財務状況が一定以上であることに大きなウェイトを配点している。リースの競争入札に対して、電気工事屋のISO取得を求め、その経営状況を審査するというのである。●●市にISOを2つ取得している電気工事会社がいくつあるのか。特定の工事会社が所属するコンソーシアムにだけ配点がされる不公正な評価項目であり、その電気工事会社と入札当局のつながりが疑われる官製談合と訴えられかねない愚かな工作である。
他の市でもあることだが、20年分の仕事を2年間で終えなくてはならないという大きなLED化事業の中で、今までの定価に近い公共単価での建築発注に比べて、リース会社が提案する民間相場の工事代は半分以下になる。この既得権を侵害されたと感じる組合が、自治体を巻き込んで不正な入札妨害を行っている例がいくつも出てきている。組合として談合し自治体の発注を順番に回してきた状況が、蛍光管の2027年問題でそういうスケジュールでは不可能になったことから発生している混乱である。
本来、市民の貴重な税金を景気対策の名のもとに地元団体にお金をばらまくと言う仕組みに対して疑念を持たなくてはならない。自治体財政がこれほど厳しい時期に、市民が電気料金を払えず熱中症で倒れている中で、ベンツやレクサスを乗り回し仕事を捌ききれないとぼやいている裕福な業界に、異常な肩入れをするのは市民に対する裏切り行為に他ならない。
●●市の場合は極端な例と見えるが、多かれ少なかれ地域の電気工事業組合は、自治体に対しても大きな力を持ち、先の参議院選挙でも後援団体としてその影響力を発揮している。組合理事が揃って市長室に要望に行ったり、公共単価を適用するよう議会から圧力をかけた例も耳にしている。

🔲2027年問題を解決するために
今まで60以上の市町村の入札に参加してきたが、短期間で膨大な照明をLED化しなければならない非常事態での正しい入札は、10年間のリースとメンテナンスと無償譲渡を約束するリース会社の信用と実績を総合評価するものであり、器具とりつけを請け負う電気工事会社の信用を評価するものではない。ここに不正と利権が発生する原因を作る誤解があり、私は入札要項構成要員に工事業者名を入れないことを提案している。地域の電気工事業者を使うことと規定すれば良いのでありそれで充分である。2007年までにLED化することが目標であり、当然地域には大きなお金が落ちることになる。リースとしてきちんとしたLED化の納品ができれば良いのであり、電気工事士の資格のある人間であれば、ISOを持ってなくても、地域で1番の経営状況を持ってなくても安定器を切ってソケットに圧着するだけの簡単な工事はできる。逆に組合チームが落札できなければ、地元の電気会社の大半はこの工事に参加できないことになってしまう。工事会社名を資格審査で求めなくても契約主体が責任をもって納品するのだから心配はいらない。
地域の明かりを守る緊急事態に利権と企業エゴは排除すべきである。これから9月の議会の予算補正を経て入札を検討している自治体はくれぐれもおかしな入札参加要件や特定のメーカーしか参入できないような仕様を作らないように注意してください。

2027年問題を解決するために必要な情報をお伝えする8月の「あかりみらいオンラインセミナー」は8月8日と22日の二回です。
入札のコンプライアンス問題やクーラーの電気代を半分にする自然冷媒についても詳しくお知らせしますので、ぜひ参加してください。
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