寄稿記事 ARTICLE
2025年09月02日
残すところあと2年
「照明の2027年問題」も残すところあと2年となってしまいました。水俣水銀条約では2027年12月が期限とされていますが、国内メーカーパナソニックは9月で蛍光管製造を終了すると発表しています。23年12月の条約締約時点で4年の猶予があったものが、いよいよ丸二年を切ってしまいました。
ジチタイワークスや環境新聞、あかりみらい通信で2023年12月からこの問題に警鐘を鳴らし続けています。あかりみらいオンラインセミナーには既に200以上の自治体が参加し、多くの公共施設を抱える自治体にとっては唯一の解決策である「民活で、リースを活用した一括LED化」の年内スタートに向けた補正予算の準備を進めています。
早くから「カネ、モノ、ヒトが足りなくて間に合わない。蛍光管を買いだめしても安定器が切れてその時点でLED資材が入手できなければ長期停電になってしまう」と警告してきたことが現実になりつつあります。予算化の見積もりもできず、LED資材はすでに受注生産になり、電気工事屋も職員のマンパワーも足りません。
LED 化が進んでいる市町村で、残すところ10や20の施設であれば、従来通りの公共建築発注で地元の電気屋さんに頼んでください。
これが50、100、200の大量の施設が残っているならば年度内完工も絶望的で、500、1000件では来年度予算のための見積もりも間に合いません。
政令市や県レベルの数千、万の桁の施設数になると、単年度での数百億円の予算確保は困難で、百万本のLED資材の確保もできず、人手不足と働き方改革の電気工事業界には2年間での工事も到底不可能です。いったい誰が1000件、2000件もの見積もりをしてくれるのでしょう。調査費だけで10億円の桁になり、見積もりだけで1年間を費やして2027年にやっと着手することになります。
予算を用意出来ず、資材も確保出来ず、工事も間に合わないならばどうなるか。
LED化が間に合わなければ「停電(不点灯)」になります。2019年に蛍光管の点灯に必要な安定器の製造を終了してしまっているのですから、安定器の寿命が来た順に定価に出張費も加えて1台づつLEDにしなくてはならず、その時点でLED資材が手に入らなければ「停電」になります。全国で受注生産が1年待ち、2年待ちならばどういう事態になるでしょう。
のんびりしているみなさんは、もうすでにLED資材不足は始まっていて下期からは大幅な値上げも予想されることを知ってください。
🔲日本だけの事情
発光ダイオードの原料となるガリウムの98%は中国が握っていて、米国とのレアメタル戦争が始まっています。記憶に新しいトランプ大統領がゼレンスキー大統領にレアメタルを「掘って掘って掘りまくれ」と迫ったのは、昨年12月に米国の半導体技術の輸出規制に対抗した中国のガリウム輸出禁止への解決策だったのです。世界ではこれほど深刻な資源戦争のせめぎ合いが続いているのに、何故日本はこれほどのんびりしているのか。
ここには世界で日本だけが抱えるローカルカントリー事情があります。それは原子力再稼働問題です。昨年12月17日に発表された「第7次エネルギー基本計画」は、「AIの進展によるデータセンターの新設や半導体工場の稼働増による電力需要の『爆増』が想定されるので原子力発電所の再稼働が必要」というシナリオになっています。
東日本大震災の福島原発事故で全原発が停止してしまった日本だけが直面しているローカル課題です。「爆増」するシナリオの電力需要想定に、7億灯の蛍光灯が▲7割以上省エネになる「2027年問題」は邪魔ものであり、国民にも経済界、産業界、自治体にも知らせたくない「不都合な真実」なのです。
ちなみに、3億本の40ワットの蛍光管を11ワットのLED管に交換すると、およそ1000万KWの電力が削減されます。100万KW発電所10基分です。東日本大震災で菅政権が閣議決定した完全LED化を目指す「あかり未来計画」が世界レアメタル戦争を背景とした水銀水俣条約で実現してしまうのです。
世界は2023年以前からレアメタル戦争に突入し資源確保に鎬を削っているのに対して、日本は原発再稼働を唯一のエネルギー政策として、2027年の停電危機に目を瞑っています。
政府はなんの対策も取ろうとしていません。もう2年後に津波が到来するのがはっきりしているのですから、非常事態として優先順位をつけて、病院や学校、地下街、地下鉄など絶対に停電させるわけにはいかないところだけをグルーピングして考えましょう。
🔲まずは試算見積もりしなくては
あかりみらいは、全国で50以上の自治体、官民2000以上のリース活用による一括LED化を成功してきており、AIを活用した自動試算プログラムにより、数百件の試算でも無料で短期間でお応えします。1000件を超えるようならば相談させてください。
リース活用を前提とすれば予算の心配はありません。電気料金の削減範囲内でリース額は分割支払いできます。電気代が減った中でリース料を賄うのだから持ち出しは無いのです。
公共の予算を民間リースで考えれば、30倍の施設のLED化を始められます。
例えば1つの学校を建築発注でLED化する予算をつけるとすれば、民間相場で見積もれば費用はその3分の1以下になり、これを10年リースで分割支払いするならば、毎年支払う額は10分の1で済みます。つまり、1つの学校の公共工事予算があれば、その30倍の施設を一気にLED化できるのです。
LED化してしまえば、照明の使用電力量は▲70パーセント以上下がるのですから、市町ならば数千万円規模の財政削減につながります。
いくらの予算でどれだけの財政削減になるのか?
リースによるLED化はお金のかかるプロジェクトではなく、お金を儲ける財政改革の省エネプロジェクトなのです。
公共施設の一覧と、照明配置図をスマホで撮影してメールで送ってください。議会にかけるのに必要な概算予算と省エネルギー効果、CO2削減効果を試算してお応えします。
もうすでにLED資材不足は始まっており、下期からは大幅な値上げも予想されます。
通常の公共のカレンダーでは、9月議会、12月議会、3月議会で26年度予算での実行を計画されるでしょうが、26年度になってから入札して契約してから資材発注となると、間違いなく受注生産待ちナンバー数百番目から千数百番目になり、半年待ち1年待ちの状況になるでしょう。
来年度ではこれに膨大な政府施設と民間施設も熾烈な資材獲得競争に参入してくるのですから、値上がりと入手不能が現実になる事態を想定してください。
解決策は、年度内に補正予算でスタートして最低限の施設だけでも救うこと。
全国の自治体は救えません。自分の町だけでも逃げ延びてください。
さらに、首長は県民、市民、町民のLED化も心配しなくてはならないのです。
あかりみらいオンラインセミナーは月2回のペースで開催しています。財政、管財、建築、教育委員会、公共施設マネジメント、環境脱炭素のみなさまでパブリックビューイングで参加してください。
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