寄稿記事 ARTICLE
2025年12月29日
1月にも臨時議会で
昨年末の国会決議で、お米券と地方特別交付金の議論がありました。米政策と物価高対策どちらも重要な課題ですが、それとは別次元で今回の決定が地方行政にチャンスをもたらしたものがあります。
国会決議の後は、このお米券をどう使って、特別交付金の用途をどうするかなど全国の市町村すべてでこの臨時議会が1月下旬から2月にかけて開かれます。
■臨時議会が最後のチャンス
これは12月議会で予算化が間に合わなかった案件の復活のチャンスで「照明の完全LED化予算案」が通らなかった自治体は復活折衝のチャンスが来たと再提出してください。膨大な公共施設のLED化予算の設計見積もり作業が12月議会に間に合わなかった自治体は年度内最後のチャンスが生まれたと考えてください。新年度になると、2027年の照明問題に危機意識を持ち12月議会で予算案を通した全国の多くの自治体が一斉にLED照明の発注を行います。4月になると1府12省庁の政府機関も都道府県も政令指定都市も拠点都市も1700市町村も一斉に入札をし、契約をし、発注を始めます。あっという間に国内の照明在庫が蒸発する事は間違いありません。まだ膨大な公共施設や街路灯の予算化作業に手をつけておらず、調査費も予算化していない自治体にとっては、灯りを消すわけにはいかない病院や学校施設だけでも予算化するチャンスです。
首長の皆様はほとんど目にしていないと思いますが、昨年の10月1日に経済産業省と環境省は事務連絡という形で2027年問題を市町村に伝えています。
≫政府事務連絡
23年12月に締約した水俣水銀条約のときの事務連絡は24年2月に記者会見もせずに発信されましたが、年度末ギリギリの通知に25年度予算にはどこの自治体も盛り込めませんでした。今回も10月にさりげなく発信されても12月議会に間に合った自治体は稀だったのではないでしょうか。言わんや民間企業や県民町民村民にこの情報を伝達した自治体がいくつあったでしょう。民間の半分以上は自分の生活に関わるこの大事な情報を未だに知らずにいます。なぜ政府広報で積極的に周知しないのか。民間、住民への周知は自治体の責任にされていますが、本来国がやるべき大事な仕事です。
■LEDの供給が間に合わない
時事通信社の取材によると、日本の照明問題を所管する経済産業省情報産業局によると、「日本のLED化は順調に進んでおり、一斉に発注されると値段が上がることがあるので、計画的に(少しずつ)進めて欲しい」とコメントしているそうです。何をか言わんや。2年前に国際会議で決まっていた2027年の蛍光管製造終了を一年後の12月まで閣議決定せずに、まともな周知活動もせず、国民の半数が知らないままで既にLEDの品不足が始まってしまっています。取材によると、全国で7億灯の蛍光灯がまだLED化されていないのに対して、国内の蛍光灯に対応するLED照明の生産量は年間650万灯しかありません。昨年の10月現在でLED資材不足による生産待ち期間が半年を超えていることをどう分析しているのでしょうか。まるで一昨年の米不足のときの農水省の「米は足りている」発表と同じです。政府は「少しずつ計画的にLED化すべき」などと愚かな方針を取らず、7億灯の蛍光灯をあと2年でLED化するために日本中の官民で必要な資材のサプライチェーン対策と、緊急輸入対策、それに必要な財政出動を取るべきです。いま、この問題を全国知事会、市長会、町村会から政府に提言してもらうことを打ち合わせしています。
≫首長マガジン
■原発再稼働の邪魔になる通達は出さない
このような事態になってしまった背景には日本独自のエネルギー政策の問題があリます。そもそもは国内の照明需要の調査も行わずにヤミヤミと中国のレアアース戦略の陰謀に乗せられて、国際会議の多数決で負けてしまった外交の稚拙さがあリますが、世界中がこの対策を2年前から進めているのに対して、日本では未だ国民の半分が知らず、自治体のほとんどが手をつけられずにいる現状を招いたのは「原子力の再稼働」という日本だけのカントリー事情であると私は考えています。23年12月のスイス・ジュネーブで締約された水俣水銀条約は環境省の水銀対策課と経済産業省の化学物質管理課とオブザーバー参加の日本照明工業会で決めてきた条約です。多分これは外交上のアクシデントであり、3年に1度のエネルギー基本政策を策定中だった経済産業省の資源エネルギー庁にとっては寝耳に水のことだったのではないかと思われます。総量調査も行わなかった公害対策部門の決めてきた結果が、原発再稼働というエネルギー政策の根本を遮る世論を作りかねないことを知っていれば、アメリカがよくやるようにこの国際会議の席を蹴って条約から離脱していたのではないでしょうか。ただし、これは条約の名前の通り水俣病を防ぐための国際会議であり、日本は共同議長国のため不利な条件でも飲まざるをえなかったでしょう。中国が日本の原発再稼働による国力増大を妨害するために大きな省エネムーブメントを仕掛けたとするのは考えすぎで、やはりLED製造原料のレアアース輸出の拡大と日本などLED化が遅れた国々への市場開拓の策略だったと考えます。
指摘したいのは、この2年間のブランクによる照明の危機を政府自体が招いてしまったということです。多分アメリカも多くの国も2023年の水俣条約COP5の前のCOP4の時期からこの事態への対応を進め、レアアースの確保とLED化の加速を行っていたはずです。現にトランプ大統領は、ゼレンスキー大統領に対して、「ロシアとの仲介をするから、ウクライナのレアアースを掘って掘って掘りまくれ」と迫りました。ちょうどこの時期とラップした日本の第7次エネルギー基本政策のテーマは原子力再稼働です。「AIの普及によるデータセンターの新設と半導体工場の稼働による電力需要の「爆増」は全原発の再稼働がなければ乗り越えられない」という既定のシナリオに対して、「日本中の残り7億灯の照明がLEDになれば、数10基の100万キロ級発電所が要らなくなる。省エネと再生可能エネルギーだけで日本の電力は賄えるのではないか。」という想定は邪魔であり、耳を塞ぎたくなるものだったでしょう。実は、「国中の照明をLED化すれば原子力は要らない」という政策はかつて経済産業省と環境省と照明工業会が作ったものなのです。正確には原子力が全面停止してしまったからには日本経済を維持するには、LED化して節電するしかないという国策でした。
2011年に東日本大震災の福島原発水蒸気爆発による未曾有の電力危機に対して国内すべての照明をLED化してしまおうという、当時の管内閣が閣議決定した「あかり未来計画」が今、中国の資源戦略の外圧の中で完成しようとしています。
■時間切れになる前に
原子力再稼働の邪魔になる省エネについては、エネルギー基本計画の中では触れず、日本中の明かりが消えるかもしれない事態を見て見ぬふりをし、国民にも経済界にも知らせずに来たのですが、もう限界、時間切れです。民間はともかく、自治体カレンダーの議会スケジュールと公共工事の手法ではあと2年では間に合いません。予算も組めないし、財限もない。12月議会で来年度の予算化をできなかった都道府県や拠点都市にはあと1年間しか残されていません。この期間で数百件数万件、数億灯の公共施設をLED化するのは全く無理です。もし中国との関係悪化がエスカレートして、レアアースやLEDの輸出禁止になると、社会インフラの停電が始まります。原発再稼働は既に方針として固まっています。経済産業省はもう「LED化は間に合う」などと国民を瞞着するのはやめて、今すぐこの問題を重要な経済安全保障問題と位置づけての財政出動とサプライチェーン対策をするべきです。2027年という津波の到着時期までにLED化を終わらせて、地域の灯りを守るために、今回お米問題でチャンスが訪れた臨時議会を使って最低限の施設だけでも逃げ伸びてください。
もう一つの方法は、調査予算も工事見積もりもすっ飛ばして、LED蛍光管を大量に備蓄してしまうことです。ばかばかしいことですが、安定器が切れて停電した時に備蓄倉庫から資材を持ち出して修理する。長期間の不点灯による施設閉鎖を考えたならば現実的な方法です。何万本を備蓄すれば足りるか。遠慮なくご相談ください。
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