寄稿記事 ARTICLE
2024年03月07日
通達の反響
2月に出された水俣水銀条約に関する通達が省庁から下部団体へ降りつつあるようで、全国からお問合せも寄せられるようになってきました。前号でも述べましたが、この通達は何の具体策も政府補助策も述べておらず、その重大な社会経済への影響について自覚していないかのような作文です。
蛍光灯製造・輸出入廃止に関する通知
昨日この認識を確認するため、國場幸之助国交副大臣同席で衆議院第二議員会館で環境省水銀対策課、経産省化学物質規制課、経産省情報産業課と国交省秘書官の6人と課題の整理を行いました。
残念ながら環境省も経産省も事態の重要さを認識しておらず(またはわかっていながら責任逃れをしているか)政府が対策を打つことの必要性に議論が及びませんでした。
経産省には膨大な施設と照明の総量を想定した上での供給対策なのかと正しましたが、「半導体不足の中でも照明工業会の生産が現状で改善している」との理屈にならない応えぶりを繰り返すのみです。足りない場合は蛍光管を買いだめするのが事務連絡で示した唯一の対策(生産終了している安定器が切れたら同じく停電します)で、照明工場ラインの増設もメーカーへのサプライチェーン補助金も国家備蓄も発想にありません。
さすがに國場副大臣は政治家としての危機意識はお持ちでしたが、日本中の照明をあと4年でLED化する事業の困難さは条約を飲んだ彼らには想像できない(想像することすら自分の仕事ではない)ようでした。
国交省も答えられませんでしたが、自分の省庁でどれだけの施設があってどれだけの照明があるのか。各省の下部団体、企業にどれだけの施設がありどこまでLED化が進んでいるのか。1780都道府県・市町村のLED化に何億本の蛍光管が必要なのか。総数も想定できないのに生産計画が立てられるわけがありません。照明工業会の言うLED照明供給は間に合うというのは根拠のないウソなのです。全くモノが足りません。
国や自治体は税金を使えばお金の心配はないですが、お金のない企業や国民はどうすればよいのか。
この壮大な事業を完逐するには何兆円規模の資金が必要ですが、政府交付金も財政支援も誰も考えていません。
当然、水銀対策課も化学物質規制課もこんなことは自分の所管ではないので考えることもしません。本来、新型コロナ対策無利子融資のように民間救済策を国会で議論していなくてはならないのです。カネも足りません。
来月から働き方改革で電気工事士も土日、時間外が規制されます。景気回復もあり、全く働くヒトが足りません。
政府はなにも考えていません。なにも対策されていないのですから自分の身は自分で守ってください。
多くの施設を抱える自治体、企業は1日も早く、施設数を数え、照明数を数えて見積もりし、予算化して、資材を確保し、工事を発注してください。
これからこの通達がじわじわと全国の自治体、民間企業、団体に届き始めます。いっせいに静かなパニックが広がります。
とにかく自分だけでも逃げ抜けてください。
3月は明日8日(金)10時からと25日(月)15時からの2回、オンラインセミナーを開催しますので民間企業の方も含めこの件の対策に悩まれている方はご参加ください。
この解決策をアドバイスします。
≫オンラインセミナー
この問題については以下をご覧ください。
≫月刊クォリティ 2024年3月号
≫環境新聞 2024年2月28日号