寄稿記事 ARTICLE
2025年02月12日
予算化してない?!
先週、経産省省エネ課に閣議決定後の施策の動向について聞いてみました。驚いたことにというか、やっぱりというか、政府は2027年蛍光灯製造禁止への再周知も対策も何も予定していません。照明問題を所管する経産省情報産業課が「フローとストックでLED照明は足りる」といつまでもお気楽なことを言っているので、政府も対策を取る必要性の根拠がないとしているのです。これについては、12月24日の閣議決定の前の週に発表された第7次エネルギー基本計画の「原子力再稼働のために省エネ議論はしたくない」という意向が透けて見えます。
昨年2月に出された生ぬるい事務連絡1枚で危機意識を持てずに、3月議会予算にLED化の予算計上ができなかった皆様、自分の身は自分で守らないとなりません。
数10件、数百件、数千件の公共施設をどうやったらばあと2年でLED化できるのか。見積もりも予算化もできないでいるものをいつになったら議会にかけられるのか。3月議会に間に合うとは思えませんが、トップの決断があれば、まだ補正予算の手があります。
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以下、沖縄県の地元誌に連載しているコラム原稿を添付しました。「沖縄」をみなさんの県・市町村に読み変えてご覧ください。
【初稿】
先月号で、第7次エネルギー基本計画と原子力再稼働のシナリオについて書いた内容が、小泉純一郎元総理の目に止まり勉強会に招かれ講演してきた。これから国民的省エネ活動としてもLED化は加速していくだろう。
■全国一遅れている?
沖縄のLED化は全国でも最も遅れている地域の一つだが、いまだに「なんくるないさー」の経営者や首長が多いようである。特に自治体で来年度予算に全公共施設のLED化予算、最低限でもLED化の調査費が入っていないのはどうしたことか。あと2年半で沖縄本島と離島の全ての照明をLED化してしまわないとならないのである。それが間に合わないと、2019年にすでに製造終了している安定器の寿命が来た順に今の照明は停電(不点灯)していく。その時点でLED資材が手に入らないと、手に入るまでの期間は停電したままになる。一昨年、沖縄県からの受託で県庁ほかのLED化の試算を行った。沖縄県庁の建物は地下駐車場から12階まで全て蛍光管で、これを数えると1万8000本あった。照明メーカーにこの在庫があるかと問い合わせてみると、受注生産で4カ月かかるという。2年前の時点で県庁舎ひとつで4カ月待ち。これが25年度新年度に入り政府発注が始まり、沖縄県以外の都道府県市町村の発注が始まればどんなことになるのか。「なんくるないさー」どころではない。受注生産の行列で沖縄県が1741番めの発注ならば、先に並んでいる1740の市町村の生産と発送が終わるまでモノは沖縄に届かないのである。それが1年待ちで済むか2年待ちになるのか。3年待ちならどうする?あちこち切れたままの病院や学校や工場やホテルが1年も2年も3年もポンコツのままで耐えられるのだろうか。古い建物で蛍光灯の安定器が次々に切れていくと、その施設は夜間は使えなくなるのである。沖縄には地下街も地下鉄もないが、真っ暗な地下街と運行停止する地下鉄もあり得るのである。
■今まで通りではいけない
沖縄の経営者、首長と議員、施設管理者、教育委員会はこの事実を深刻に考えるべきである。県と市町村は今すぐ臨時議会を開いてでもこの非常事態を審議すべきである。25年度予算が付かなければまた25年度の貴重な1年間を棒に振る。全国から注文が殺到する中でモノもヒトもカネも足りずに、残り2年間で沖縄県内数千件、民間も含めて数万件の施設をLED化できるはずがない。昨年12月24日の閣議決定はこれから全国に浸透していく。沖縄だけでなく全国で、いまだに今まで通りの考え方で公共事業で毎年少しずつやればいいという危機意識のない人たちがいる。全国各地で自分たちの既得権のために、今まで通り公共工事の高い定価で少しずつ発注してくれと陳情している電気工事団体もあるようだが、とんでもない無責任な発想である。沖縄の灯りを護り、県民の税金を大きく削減できる合理的な方法をしっかり研究して、いますぐに実行するべきである。今までのままで良いと言える時期はすでに過ぎた。あと2年半で沖縄中の灯りを全てLED化しないとどうなるか。民間では灯りがなくては商売ができない。観光業はどうする。製造業はどうする。灯りのつかない不動産物件は売れない。特に離島はどうするのか。離島に大量の照明資材をどうやって確保し、どうやって工事者を集めるのか。
そもそも昨年2月の政府通達を目にしていながら、24年度の1年間を無為に過ごして、来年度予算にLED化を計上できなかった自治体関係者は猛省すべきである。どうせ税金だからという考え方で、日本一高い沖縄電力の電気料金をLEDに比べて7割も高い電気代の節約もせずに、地元にお金をばらまけば良いと、長々と高い公共工事手法を改めずに税金を無駄遣いして来た付けが今回っている。あと2年半しかない。でも2年半ある。数10件、数百件ならばまだ間に合う。
ぜひ皆さんで議論していただきたい。
新連載で辛口で書いてくれとの編集部の意向で、少々きつい論考となった。関係者にはご容赦を。