寄稿記事 ARTICLE

あかりみらい通信

2025年08月19日

官製談合? ②

あかりみらい通信

前々号で配信した官製談合を疑われかねない事例にいくつも反響をいただきました。入札参加資格登録名簿に組合組織が名前を連ねていることは、いままでも談合によって価格調整し入札を支配してきていて、この自治体はそれが当たり前としてやってきているのです。地方紙の記者からは、この市では以前にも官製談合で公正取引委員会から勧告を受けていたこと、県の調査委員会も設立されていたことを教えてもらいました。なぜ反省が生かされないのでしょう。以下、違う自治体での建設業の官製談合事例です。
≫五所川原の官製談合「“必要悪”はあり得ない」 | 陸奥新報

みなさんはあと2年後に迫ったLED化を全うするために、リースの入札資格に談合を生む可能性のある建築業等の不正な介入を排除してください。
照明のリースが目的なのですから、信用があり実績あるリース会社の詳細なプレゼンテーションの中で工事体制と工事品質を問えば良いのです。

🔲なぜ国産?
みなさんが当たり前と思っていても実は根本から間違っている知識のひとつに製品仕様による「縛り」があります。
LED照明の歴史では、20年近く前に世界でLEDが普及し始めたころは中国や台湾、韓国からの輸入品が中心で、値段も高く品質の悪いものもあり、故障による施設照明の総取り替えなども発生していました。当時の日本はインバーター蛍光灯やコンパクト蛍光灯、無電極灯など当時としては画期的な省エネ製品を打ち出したばかりの頃でした。国内の照明の新製品の在庫を整理するまではLEDに転換することができなかったのが当時の事情です。この数年間の遅れの間に、海外から大量のLED蛍光管が輸入され広まっていきました。これに焦った日本照明工業会は、日本独自のG16というガラパゴス口金をJASに設定し、世界標準のG13口金の蛍光管型LEDを排除しようとしました。G16という口金は当然それ専用のソケットが必要ですので、結局その帰結として器具をまるごと交換することになってしまいました。まだまだ使えるベースライトもソケットも全て捨ててしまい、新品ピカピカの器具一体型のLEDに替えるという日本独自の、合理的な考えで経営する他国には真似できない革命的な利権アイデアです。日本の現在の照明業界の誤りはここから始まっています。

この器具の丸ごと交換自体は、世界の照明デザインを根本から転換する日本の経済産業政策として世界規格を変える可能性を持つものでしたが、いかんせん先の「在庫真理教」と同じく、愚かなカートリッジ商法によりビデオのVHS対βの轍を踏んでしまいました。器具のまるごと交換製品のライトバーの部分が日本の工業規格として統一せずに、各社それぞれがサイズも取り付け方も違うというとんでもない愚かなことをしてしまっているのです。
なぜ機関銃弾もピストルの弾も世界の軍隊でサイズを統一しているか、同盟軍はどこの国の軍隊でも同じ銃弾を使えるようにしているのです。世界中の蛍光管もG13口金で1198ミリに規格を統一してあるのもこれと同じなのですが、日本の照明工業会だけが在庫処理の遅れで世界の流れに遅れ、さらに髭剃りカートリッジレベルの愚かな判断でガラパゴスの道をたどろうとしているのです。

今地元の電気工事屋やメーカーに問い合わせると、「蛍光管タイプのLEDは落下する」とか「火が出るから丸ごと交換しなくてはならない」などと、ほとんどデマのレベルの説明をしますが、真に受けないでください。
昨年はある自治体の入札でいろいろ勉強して、経済的で合理的な管交換に決まっていた仕様書を、日本照明工業会が消防庁を使ってまで「火が出る」という嘘の通達を出させて覆そうとした例もあります。
≫パーフェクトマニュアル28ページ

あたかも、専門家のような顔をして嘘の情報を流すメーカーや工事屋、電材問屋がいるので注意してください。彼らは商売のために、自分の利益のために都合の良い情報を流しているのです。洗脳されないでください。
よくある入札仕様では、「国産メーカーに限る」、「照明工業会が設定した基準であるJLMAを取得した製品であること、ISOを持った工場であること」などが並べられています。トランプ大統領がこれを見たならば、真っ赤になって潰しにかかるWTO違反の仕様です。GEもフィリップスもサムスンも立派なメーカーです。

今時、テレビもパソコンも電子製品もほとんどが中国製、台湾製、韓国製、ベトナム、フィリピン製です。20年前ならば、輸入品に不良品が多かったという事情はありましたが、今、JLMAとかISOとかいうのは自社の製品を選ばせようという特定のメーカーへの「縛り」を掛ける入札への介入です。公共の入札で特定のメーカー製品を指定することは避けるべきことです。
精密機械でも医療器械でもありません。たかが照明でメーカーが10年保証をつけていればそれでよいのです。これもリース会社のプロポーザルの中で、安く品質の良い製品をどう選択しているかを評価すれば良いのです。安かろう悪かろうというようなことのないよう製品仕様として望ましい消費電力や明るさ、口金、保証期間を設定すれば良いのです。あまりにもマニアックな入札のための入札にならないよう本来の目的を見直してください。

🔲業界利権に騙されるな
いまだに照明工業会が「まるごと交換」を進めるために流したデマの1つを信じて「安定器を外すこと」と仕様に書き込むところがありますが、バイパスしてしまった安定器を外す必要はありません。
安定器は簡易溶接されており、これをひっぺがすのは、時間と労力と工事費の無駄です。外すことに何の意味もないお客様に大きな負担のかかることを業界が作った「ガイド301」に入れているのは管交換を妨害し、器具交換をさせようとしているからなのです。LEDか既存の蛍光管かを見定めるのにベースライトの裏側の安定器の有無を確認する人はいません。業界利権の姑息な工作を真に受けてはいけません。

もう一つ、公共の入札として確認しなくてはならない重要な問題がアスベスト規制です。
2020年の大気汚染防止法強化により天井でも壁でも床でも2006年以前の建物はアスベストの有無を検査してからでなければ工事をできなくなりました。埋め込み型の蛍光灯でもクーラー室内機でもこれを厳密に適用すると、高額の検査料と調査期間と、田舎ではいないアスペスト工事資格者と厳重な養生での高額な工事費用が必要となります。環境省大気汚染防止課に確認してありますが、菅交換の場合はこの規制の対象にはなりません。埋め込み型のまるごと交換でも、同じメーカーで全く同じサイズであれば、天井の切削が必要でなく工事できるかもしれませんが、多数の公共施設の膨大な埋め込み照明をメーカーと年式、型番でサイズが同じものがあるかどうか確認することは不可能です。見積もりすらできません。埋め込み型のいくつものメーカーの年式もサイズも違う蛍光灯をアスベスト規制にかからずに器具交換する事は困難なのです。
≫パーフェクトマニュアル24ページ

どうしても、器具の丸ごと交換にしたいという方、業界が言っているのだから業界のガイドブックにそう書いてあるのだからと言う方は、入札仕様に管交換、器具交換を設定せずプロポーザルの中でその特質を提案させれば良いのです。
ただし、照明工業界が伝えようとしない致命的な問題として、器具交換したライトバーは10年後、20年後に寿命がきた交換の時に電気工事屋を呼ばなくてはならないことを知っておいてください。メーカーによってサイズも取り付け方も違うライトバーを素人が発注することも交換することもできません。今ならば、G13口金の蛍光管が切れても誰でも脚立に登って交換できますが、一旦器具交換にしてしまうと、「このライトバーを交換するときには電気工事屋を呼ぶこと」とメーカー自体がホームページに記載しています。

ライトバーを髭剃りのようなカートリッジ方式にしたのも未来永劫自社の利益を確保し、工事屋の仕事を作り出すためだったのです。
非常に頭の良い人間の自分たちの利益しか考えない愚かな決定でした。
2027年までに完全LED化を済ませるために、公正で合理的な市民のための入札を今年、来年でやり遂げてください。くれぐれも間違った情報や地元業界の利権や圧力で官製談合を疑われるような灰色の要綱や仕様書を作ってしまうことのないよう注意してください。
「照明の2027年問題」の解決策を勉強するオンラインセミナーは8月22日と9月12日、26日の15時に開催します。ここでも独占禁止法違反になるような入札の事例や、LED照明の選択方法などをお伝えします。
≫オンラインセミナー

クーラーの電気料金を半分にする自然冷媒の解説セミナーは9月12日の13時からですのでこちらにもご参加ください。

≫環境新聞