寄稿記事 ARTICLE

あかりみらい通信

2025年09月29日

既にLEDが足りない

あかりみらい通信

昨日電気工事会社から聞いた話で、今、蛍光灯をLEDに変えるため電材屋に発注しても3ヶ月待ちと言われているそうです。
安定器の寿命が来て消えてしまった蛍光灯はあと3ヶ月は消えたままです。パナソニックも東芝も、三菱も自分たちで作った日本のガラパゴス規格の「照明器具の丸ごと交換」を勧めておきながら、自らの供給責任を果たせなくなってしまっています。
「蛍光管タイプのLEDは火が出る」と消防庁を使ったデマを流してまで妨害してきた自分たちの商品の供給ができなくなっているのです。

2027年9月の蛍光管の製造終了まで2年を切った現在の段階で製造が追いつかないのであれば、これから全国の政府機関1府18省庁、47都道府県、20政令都市、1700市町村が一斉に発注を始めたらどうなるのでしょう? 民間の360万中小企業、500万事業所の何割が蛍光灯を残しているのでしょう。日本中で今日、明日にも安定器の寿命が来た蛍光灯は明日から3ヶ月間は不点灯になります。
2027年問題を知らされていない民間の事務所や店舗、ホテル、工場や学校や病院がこの事態に気がついてから発注しても、3ヶ月どころか、半年も1年も薄暗い中で待たされることになります。日本の工業製品の品質は優秀ですから、安定器が切れる時はその製造年度のものはいっぺんに切れ始めます。

地下街や地下鉄があちこち切れたまま薄暗い地下空間になります。公衆トイレの安定器が切れてしまえば、そのトイレを閉鎖しないと性犯罪の巣になります。明かりのつかない工場は操業できません。薄暗い店舗にお客は入りません。病院も学校も図書館も、公民館も、文化会館も最悪の事態で、LED製品が半年、1年手に入らなければ、施設閉鎖を考えなければならなくなることを理解してください。
2年間警鐘を鳴らし続けてきたことが現実になりつつあります。
全国で7億灯残っている蛍光灯をあと2年でLEDに変えないと、日本中のあちこちが停電(不点灯)になるのです。日本の蛍光灯対応型LEDの昨年の総生産量が600万灯しかないことをご存知ですか。

海外からの蛍光管タイプのLED輸入を阻止するために、独自の「丸ごと交換」というガラパゴス路線を作ってしまった日本照明工業会と経産省はこの自分たちの独自規格生産ライン生産能力の100年分の発注にどう対処するつもりなのでしょう。日本のコメの需給をコントロールできない政府に13億8800万本のLED蛍光管を緊急輸入できるのでしょうか。
世界のガリウムの98%を支配する中国は昨年12月からレアメタル戦略としてアメリカへの輸出を禁止しています。アメリカでは発光ダイオードを作ることができません。日本も尖閣問題、台湾有事などで中国と対立すればLEDの輸入が止まります。中国の民間商社は習近平の輸出禁止命令のリスクを恐れて海外生産での輸出を試みているそうです。

昨年6月には、日本の経済安全保障の大問題であることを高市大臣、木内大臣にも伝え、経産省にも環境省にも訴え続けてきました。これに対して日本照明工業会を所管する経産省情報産業課は、「2027年問題と世の中を煽って商売している業者がいる」と提灯記者の取材に答えたそうです。テレビコマーシャルを流したアイリスオーヤマと、自治体向け専門誌や経済誌で声を上げ続けているあかりみらいのことです。現時点での政府の問題意識は「LED化は極めて順調に進んでいる」と言う見解です。
≫中央官庁だより

自分の役割を果たせずに日本の灯りを守れずに、彼らには天に吐いた唾が自分の顔に落ちてきます。そもそもが2年前の水俣水銀条約で、国内需給の調査もせず、サプライチェーン対策も考えないままに、こんなとんでもないことを決めてきた経産省と環境省と外務省、日本照明工業会の責任です。
トランプ大統領がゼレンスキー大統領に「レアメタルを掘って掘って掘りまくれ」と迫った深刻な国際資源危機に、日本は「原発の再稼働のためには省エネの事は一言も言うな」という姿勢です。日本では国民にまだこの灯りの非常事態が伝えられていません。
さて、誰がどうすれば良いのでしょう。
全国知事会、市町村会から政府に提言、要望してください。
≫高市経済安保大臣への提言書

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