寄稿記事 ARTICLE
2025年12月09日
次はレアアース禁輸か
観光客の来日制限や水産物の購入禁止、文化イベントの中止など中国の異常な反応がエスカレートしていたところ、ついに昨日自衛隊機が中国機にロックオンされるという危機的事件が起こりました。
1歩間違えば戦争のきっかけともなり得る平時ではありえない事態です。
「冷静かつ毅然と対応」する高市総理の方針は全く正しいのですが、一連の異常なエスカレーションの次に予想されるのがレアアースの輸出禁止です。
このメールマガジンでもシリーズでお伝えしている「照明の2027年問題」は、そもそもが中国のレアアース戦略の掌の上で踊らされた外交事件と見ています。世界中で蛍光灯を製造禁止にしておいて、中国が98%保有するLEDの原料となるレアアースであるガリウムを高く売る、またはLED照明製品を国際政治の取引材料とする、まさにこの事態が目の前にあります。
中国は尖閣諸島問題の時もレアアースを輸出禁止しましたが、現在の日本でこの手を使われるといろいろな産業分野に支障が出てきます。特にあと2年を切った蛍光灯の製造禁止とその点灯に必要な安定器の寿命到来を考えると、「灯りの非常事態」が危惧されます。
実は、コロナ終息後の建築需要の復活により10月頃から器具交換型LED照明の不足が発生していて来年5月まで入手が困難になっています。新築ビルが竣工しても照明が付かなくて引き渡しができないという事態も起きているそうです。
時事通信社の日本照明工業会や経産省への取材によると、現在LED化されていない蛍光灯がおよそ7億灯あると想定され、一方でそれに対する国内供給力は年間650万灯しかないそうです。日本照明工業会を所管する経産省情報産業課は「LED化は順調に進んでいる。いちどに発注が集中すると値上がりするので、計画的にLED化してほしい」と取材に答えているそうですが、米不足の前の農水省のミスリードと同じです。
経産省QAのように7億灯の蛍光管を作り溜め、買い溜めしたとしても、既に生産終了している安定器の寿命が来た順に蛍光灯は消え、必ずLED化しなくてはなりません。仮に7億灯に付いている安定器が、年に100分の1ずつ寿命が来たとすると年間700万灯のLED需要が起こります。30年前に製造した蛍光灯の安定器の寿命が毎年来るとすると年間2300万灯の蛍光灯が消えていく計算になります。
新規需要だけでも供給不足が起こっている現在、加速する安定器寿命によるLEDへの交換需要にどう対処するのでしょうか。
政府がやるべき事は、「LEDは足りている」という嘘を広めることではなく、国内メーカーの生産力を倍増し、それでも足りない部分を緊急輸入するしかないのです。
もしも、中国が日本へのレアアース輸出禁止、LED照明の輸出禁止を宣言したならばどういう事態が起きるか。政府は、照明のサプライチェーン対策とそれに必要な財政出動を検討すべきです。
日本は来年夏に長距離射程のスタンドオフミサイルを配備します。中国との関係はいずれこの問題で再度加熱することが想像されます。政府は予期される事態に準備しなくてはなりません。
中国のレアアース戦略で照明の非常事態を迎えています。まだLED化を完了していない社会インフラや重要施設、公共施設で灯りが途絶えたらどういう事態になるか、下のインタビュー、寄稿をご覧ください。
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・月刊クォリティ「既にLEDが足りない」
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