寄稿記事 ARTICLE
2024年06月26日
消防庁の誤通達について
昨年11月の水俣条約による2027年蛍光管製造禁止問題について国会議員にもご協力をいただき、経産省、環境省に政府のとるべき対策を提言しているところです。しかし今回この社会問題を業界利権のタネとして、社会不安を煽る嘘の風評を広めてまで商売をしようとしている輩たちがいます。
メディアの方はぜひご取材下さい。
≫消防庁通達・照明工業会依頼文
ここに書かれている内容は嘘です。過去にあった僅かな事例をあたかも現在も重大事故が多発して、自社製品を買わせようとしている意識誘導のフェイク告知です。
今までも経産省情報産業課を通じて事実確認をし、消費者や自治体のみなさまに騙されることのないよう注意喚起をしてきました。しかしこの度、消防庁がこの嘘に騙されて全国の消防署へ「蛍光管タイプのLEDは火が出る」との通達を出し、その通達が自治体の入札仕様書や消費行動に間違いを起こさせようとしています。
昨年も経産省情報産業課の電気工事士資格を持った課長補佐に正式見解を求め、「安定器をバイパスした蛍光管型LEDが火を出す事はありえない」との文書をもらっています。
≫あかりみらい通信 デマ情報に騙されないために
日本照明工業会が「火が出る」と言っているのは、過去に安定器を切断しないまま取り付けることができたいわゆる「レトロタイプ」と言われる今は売っていない蛍光管型LEDのことで、10年ほど前に全国で24 例の発煙事故がありました。現在の主流である安定器を切断して設置するLED蛍光管への交換は全く安全であり、この消防庁の通達自体が事実に反する社会不安を醸成するものになります。
本当に安定器をバイパスする管交換型LEDが火災を起こす危険なものであるならば、日本中の数千万本の管交換型LEDを全面回収するべき問題です。昨年の経産省と消防庁の打ち合わせでは、「現在はほとんど稀な事象であるためレトロタイプを回収する必要は無い」との見解が出たそうです。その見解がなぜ今回逆転したのか。
本当にLED照明から火が出ているかどうかはプロである消防庁自身がわかっているはずなのですから、今回は業界の利権活動に巻き込まれて照明工業会にだまされたということだと理解しています。当社からの消防局予防課への問い合わせでは「照明からの火災原因の統計はとっていない」との事でした。統計も取らず、分析評価もされていない事故でどうして全国に注意喚起ができるのでしょう。
情報誌の3月号と5月号にこの悪辣で懲りない照明工業会のチラシについて取り上げているのでご覧ください。
≫月刊クォリティ 2024年3月号
≫月刊クォリティ 2024年5月号
消防庁を管轄する総務省には火災事故の事実を把握した上で通達が出されたのか確認を依頼しています。
日本照明工業会を所管するのは経産省の情報政策課であり、照明工業会の専務理事もこの消防局への依頼文書に署名しています。6月4日に出された照明工業会の依頼文書を消防庁は6月10日には全国の消防署まで通達しています。
早速、この消防署の文書が出るのを待って、自治体の入札担当箇所へ配布している照明メーカーがいます。業界上げての入札妨害です。
消防署が警告しているのだから管交換タイプは使うなというメーカーキャンペーンです。どのような手段を使ってでも世界標準である管交換方式のLED化を妨害し、日本の照明メーカー独自のガラパゴス規格である器具交換型のLEDにさせようという商業倫理を逸脱した照明業界のモラルハザードです。
忘れたころに繰り返されるキャンペーンでは、2018年にもNHKの「朝イチ」がこれに騙されて「LEDは火が出る」と放送し、これに気づいた私が番組プロデューサーに直電して放送中の訂正が間に合い大変感謝された経緯もあります。
メディアの皆様、自治体の皆様、これからLED化を進める検討をしている皆様。この消防署の通達にある火災が本当かどうか、ご自身で消防庁予防課と日本照明工業会と経産省情報産業課に電話してください。
消防庁予防課予防係 TEL.03-5253-7523
一般社団法人日本照明工業会技術部 TEL.03-6803-0501
経済産業省 商務情報政策局情報産業課 TEL.03-3501-6944
いつどこでどのような重大事故が起きているのか、安定器を切る工事をしても火災が起きるのか、そんなに危険なものならばなぜ全面禁止にしないのか。メーカー名と型番を発表して全面回収しないのか。
どんな回答をしていたか、このメールに返信して教えてください。
商売のためならば手段を選ばない輩にご注意を。
松下幸之助翁は泉下で嘆いています。
PS. 次号でこそ「怪しい入札、アウトな入札」の続編を配信しますので、参考事例をお持ちの方は情報提供してください。